ピアノレッスンで、涙が止まらなかった理由

音楽教室



こんにちは。ABC Kids World の中村 香奈子です。

先日のレッスンで、とても心が動かされる出来事がありました。

幼稚園の頃から通ってくれている高校生のAくんのレッスンの日のことです。

Aくんが初めて発表会に出演したのは、まだ小さな幼稚園児の頃でした。

ステージの上を元気に走り回っていた、あの小さな男の子。

そんなAくんが、今ではすっかり頼もしい高校生になりました。

長い年月の中で、嬉しいことも、悔しいことも、たくさん経験してきたと思います。

ピアノも、いつもコツコツと努力を積み重ね、少しずつ、少しずつ、でも着実に力をつけて、中学生になる頃には、発表会のお手伝いをしてくれるほど頼もしく成長されました。

高校受験の時には、数か月間レッスンをお休みして受験に集中しました。

そして受験が終わったあと、また教室に戻ってきてくれたのです。


戻ってきてからは、Aくんのペースを大切にしながら、弾いてみたい曲に挑戦したり、興味を持ったコードやコード進行について学んだり。

そして、先日のレッスンでのことです。

レッスン室に入ってきたAくんは、何も言わずにピアノの前に座り、静かにショパンのノクターンを弾き始めました。

その曲は、中学生の頃に一度取り組んだことのある曲でした。

けれど、あの頃とはまるで違う音がそこにはありました。

柔らかくて、深くて、どこか温かい音。

その音を聴いているうちに、私は涙が止まらなくなってしまいました。

Aくんがこれまで積み重ねてきた努力。

学校生活の中で感じた喜びや悩み。

受験を乗り越えた経験。

未来への期待や希望。

そんなたくさんのものが、言葉ではなく、音になって私の心に届いてきたような気がしたのです。

「あぁ、音楽っていいな。」

忙しい毎日の中で、いつの間にか忘れかけていた大切な気持ちを、Aくんの演奏が思い出させてくれました。

同じ楽譜を弾いていても、小学生の頃には出せなかった音があります。

中学生の頃には表現できなかった世界があります。

人は経験を重ねるたびに、音が変わっていくのだと思います。

そして、それこそが音楽の素晴らしさなのかもしれません。

これから先、進学や就職、人生のさまざまな節目を迎えても、ピアノや音楽がAくんの心の親友のような存在でいてくれたら。

嬉しい時も、苦しい時も、そっと寄り添ってくれる存在でいてくれたら。

そんなことを願いながら、これからも一緒に音楽を楽しんでいけたらと思っています。

ピアノを習うことで身につくのは、技術だけではありません。

目標に向かって努力する力

できなかったことができるようになる喜び

自分の気持ちを表現する力

そして何より、言葉にできない気持ちを受け止め、支えてくれる「心の居場所」を持つこと。


子どもたちは、成長するにつれてたくさんの壁に出会います。

そんな時、そっと寄り添ってくれるものがひとつあるだけで、人は驚くほど強くなれるものです。


もしピアノが、お子さまにとってそんな存在になってくれたなら。

それはきっと、一生の宝物になるのだと思います。


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